たばこが原因となる病気

たばこが関わる病気

喫煙は、さまざまながんの原因の中で、予防可能な最大のものです。

喫煙は、さまざまながんの原因の中で、予防可能な最大の原因です

喫煙は、がんだけでなく、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)や脳卒中など循環器の病気、肺炎や慢性閉塞性肺疾患(COPD)など呼吸器の病気の原因でもあります。

  • (出典)がん情報サービス(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センター)

喫煙ががんを引き起こす仕組み

たばこの煙の中には、たばこ自体に含まれる物質と、それらが不完全燃焼することによって生じる化合物が含まれています。その種類は合わせて約5,300種類と報告されています。その中には、発がん性があると報告されている物質が約70種類含まれています。

これらの有害物質は、たばこを吸うと速やかに肺に到達し、血液を通じて全身の臓器に運ばれます。DNAに損傷を与えるなど、がんの発症メカニズムのさまざまな段階へ関与して、がんの原因となります。

  • (出典) がん情報サービス(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センター)
  • (出典)厚生労働省検討会報告書 喫煙の健康影響に関する検討会議:喫煙と健康、2016

喫煙とがんの関連の大きさ

喫煙によってがんのリスク(がんになる、またはがんで死亡する危険性)がどれくらい上昇するかは、「相対リスク」という数値で表現されます。これは、たばこを吸わない人を1として、たばこを吸っている人のがんのリスクが何倍になるかを表します。

喫煙によるがん死亡の相対リスクは、男性で2.0倍、女性で1.6倍です。これは、たばこを吸う人ががんで死亡するリスクは、吸わない人に比べて男性で2倍、女性で1.6倍であることを意味します。

  • (出典)がん情報サービス(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センター)

喫煙と各発症リスク

1 慢性腎臓病との関係

喫煙は、慢性腎臓病(CKD)の発症と重症化の一因となっています。
 喫煙者は、非喫煙者に比べて約2倍慢性腎臓病になりやすいとの報告があります。

2 糖尿病との関係

喫煙本数が多いほど糖尿病を発症しやすく、非喫煙者に比べて、喫煙者全体で1.4倍、20本以上の喫煙者では1.6倍糖尿病にかかりやすいとの報告があります。

また、糖尿病の人が喫煙すると、腎臓の機能がさらに低下し、慢性腎臓病や透析に至るリスクが高まり、透析に至る期間が短くなるという報告もあります。

3 メタボリックシンドロームとの関係

喫煙は、糖代謝障害(血糖の上昇、インスリン感受性の低下など)や脂質代謝異常(HDLの低下、中性脂肪やLDLコレストロールの上昇)を引き起こします。

職域の健診受診者を追跡した研究によると、メタボリックシンドロームの発症リスクは、喫煙本数が多いほど高まることが報告されています。

4 循環器疾患との関係

喫煙は、循環器疾患のリスクを約2倍に高めます。喫煙とメタボリックシンドロームが重なると、循環器疾患のリスクがさらに高くなります。

5 乳幼児突然死症候群(SIDS)との関係

乳幼児突然死症候群(SIDS)は、乳幼児に何の前触れもなく、突然の死をもたらす病気です。

SIDSの主要な危険因子として、うつぶせ寝や人工栄養による哺育のほか、妊娠中から出産後の家族喫煙が知られています。

両親がともに吸わない場合に比べ、親の一人が吸うとSIDSのリスクは1.6倍、両親が吸うと4.7倍に高まります。

このほか、親がたばこを吸うと、子どもの呼吸器系の感染症をはじめ、たばこによるやけどや誤飲事故なども起こりやすくなります。

  • (出典) 1~4:禁煙支援マニュアル(第二版)(厚生労働省)
  • (出典) 5:禁煙支援マニュアル(厚生労働省)